話す順番を変えると相手の印象が変わる

こんにちは。CEOの栗原沙和子(くりはらさわこ)です。
今回はビジネスにおいて相手に良い印象を残すためには情報をどのように伝えればいいか、というテーマで記事を書きたいと思います。

行動経済学の「初頭効果」と「親近効果」とは

まず「行動経済学」とはどんなものかご存知でしょうか。
従来の経済学は「人は事実に基づいた合理的な選択・判断を常にする」という前提で考えられていて、数値的・確率的な理論でした。
しかしながら、自身の行動を振り返ってみていただければ分かるように、時には自分の利益にならないことや自律的でない行動、非合理的な選択をすることがあります。
そのようなリアルな人間像に基づいて経済学を捉えているのが「行動経済学」です。
「心理学×経済学」という言われ方もよくされています。

見出しにも書いた「初頭効果」と「親近効果」もこの行動経済学(人間の心理と経済行動の掛け合わせ)において使われている考え方です。
それぞれの理論について、まずはどんなものか見ていきましょう。

初頭効果=最初に聞いた情報が全体の印象を左右する

「初頭効果」とはその名の通り、最初に聞いた情報の及ぼす効果は強いことを意味しています。
たとえば下記のようなケースがあったとします。

・売上は上がっている
・利益率は下がっている

その状態を他者に伝える時には「良い印象を与える情報は最初に言った方が良い」ということになります。

A「弊社は売上が上がっています。利益率は下がっていますが…。」
B「弊社は利益率が下がっていますが、売上は上がっています。」

この時、それぞれの印象としては
Aの場合は利益率という課題は認識するものの、概ね経営としては良い方向に進んでいると感じさせることができるのに対して、
Bの場合は売上が上がっているにも関わらず利益が下がっているということに対して、利益体質を改善する必要があると感じさせてしまう可能性があるということになります。

もちろん、話す相手やケースによってはネガティブな情報をそもそも言う必要がない場合もありますが、たとえネガティブなことでも事実を伝えなければならない場合にも、伝える順序によって相手の印象を変えることができるのです。
反対に、これはぜひ知ってもらいたい!と思うような良い情報もまた話す順序によっては相手の印象に残りにくくなってしまうことがありますので、情報を整理し組み立てる時には注意が必要です。

親近効果=あとから出てきた情報、最新の情報に影響を受ける

「親近効果」とは、初頭効果と反対に後から出てきた情報、新しい情報が受け手の印象を左右するというものです。

本を読んだり映画を観た時に「前半は退屈だったけど後半面白くなった」ということってありませんか?
そういった時に人は「この作品は面白かった」となることが多いのです。
反対に、最初はこれは面白そう!とワクワクしていたのに後半思っていたような盛り上がりがなく終わった場合には「面白くなかった」という印象を持つ可能性が高くなります。

他にも、プレゼンやコンテストなどでの発表順はトップバッターよりも後半がいいと思う人が多いのではないでしょうか。
これも親近効果が働いており、あとから伝えられた情報が聴き手や審査員の印象に残りやすく、実際に高い評価を得られやすいと言われています。

またこの考えを活用して、ポジティブな口コミ(直近ユーザーの感想)や商品購入後のアフターフォローなどがあることでお客さまに「この会社(商品・サービス)は良いものだ」と印象づけることができます。

結局良い情報は先がいいの?後がいいの?

このふたつの効果は一見矛盾しているように見えます。
結局先に言うべきなの?後に言うべきなの?という疑問が出てきますよね。

実はこの2つの効果は、特に働きやすいシチュエーションというものがあり、それによって初頭効果を使うべきか、親近効果を使うべきかという判断ができます。

相手の自分への関心度が重要!

あなたがこれから話をしようという相手は自分への関心が高い人でしょうか?
相手の関心度が低い場合=初頭効果
相手の関心度が高い場合=親近効果
が有効であるとされています。

相手がまだ自分の会社・商品・サービスのことを知らない、興味を持っていないという状態であれば、最初に相手を引きつける情報を出すと良いでしょう。
例:この商品はユーザーアンケートで85%以上がとても満足していると回答しました。他にはない新しい機能を備えていますので、価格は従来の類似商品よりも高くなっています。

反対に、相手がすでに自分の会社・商品・サービスのことを知っていて興味を持っている、購入・利用を検討しているという状態であれば、決め手になるような情報は最後に伝えるのが効果的です。
例:この商品は、従来の類似商品よりも高い価格でご提供しています。しかし他にはない新しい機能を備えておりユーザーアンケートでも85%以上がとても満足していると回答しました。

上手に情報の出し分けをしましょう

たとえ同じ商品でも伝え方や売り方で相手の購入意欲や心理的な満足感、印象を大きく変えることができます。
またお客さまだけでなくそこで働く人に対しても同様で、採用や育成、エンゲージメントの向上などのシーンで相手の自社に対する意識の高さによって効果的な伝え方が変わってきます。
従業員やお客さまの心をつかむために、ぜひこれらの効果を活用してみてください。